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STIHL MS241C-M  エンジン不調

チェンソー点検パックで千葉県から送っていただいたSTIHL MS241C-M

お客様より聞かせていただいた不調は下記

①エンジンかかりづらい

②エンジン停止しづらい

ん~、嫌な予感がしますね

特に②のエンジン停止しづらい

早速確認作業を開始しするとやはり不味い事になってます

スパークプラグを外してシリンダー壁をみると悪魔の爪痕がくっきり

焼き付いてますね

なんで焼き付いたんだろうって事で診断します

STIHL MS241C-Mは電子制御キャブレター

点火コイルにECUが内蔵されていて運転状態を記録しています

この機体の状態をモニターしましょう

M-Tronic機の診断にはパソコンが必要です

機体と無線接続する事でデータモニターや初期化がきるんですがなぜか診断機本体のMDG1の電源はAC100V…

外部電源が必要なんです

ホンダやハスクの診断機はUSB電源なんで便利なんですが

屋外や出張修理での診断や調整には外部電源が必要なのでポータブル電源が必須ですね

パソコンとMS241C-Mを接続しデータをモニター

空燃比制御値が明らかに異常です本来は緑色の部分入っていればOKなんですが低速時の補正値が限度を超えています

フルスロットル領域の値もギリギリなんとかってレベル

ECUは燃料供給量を絞る方向に補正を掛けています

リセットを掛けて確認しますが同様な値に落ち着きます

シリンダーとピストンの損傷でエンジンの要求空燃比がくるってるんですね

焼き付き気味のアナログ機でもニードルセット値が大きくずれるのと同じです

その他のデータとして総運転時間が79時間23分40秒

始動回数は521回であることが読み取れます

ガシガシ使い込まれているって感じではないですね

気になるのは最高回転数の記録

本来の最高回転数は14000rpmですが履歴から15000rpmまで上昇しています

*経験的にこのデータが14,600rpmくらいでも正常な個体があるのを確認しています、回転上昇は空燃比が過薄状態で発生します

オーバーレブしていますね

ソレノイドやコントロールユニット、温度センサーは診断でOK

*ソレノイドは電気的にOKなだけで詰まってるかはこのデータで診断できません

焼き付いているのでこのデータは焼き付き前の状態を記録していませんが、推定原因はエアクリーナエレメントの詰まりでしょう

ピックアップボディーは良くはありませんが完全に閉鎖していません

M-Tronic機はエアエレメントに汚れが蓄積し吸入空気量が減少するとそれに合わせ燃料供給量を減少させ回転数を維持する様補正します

*普通のエンジンではエアエレメントが詰まるとチョークと同じ現象で空燃比が自然に濃くなりエンジン不調を作業者が体感できます

でも、自動補正機能が働く電子制御機では気づかないのが普通、というかどんな条件でも自動補正のおかげで快適に作業できるのが売りなんです

なので自動補正もどんどん補正していくと補正限界って壁にぶち当たります

減少した吸入空気量に合わせて混合燃料の供給量を減らすと当然ですがエンジンオイル分も減少します

でも、回転制御は最高回転まで回る様に補正しますから結果的に焼き付きます

今回のトラブルも上記の原因が濃厚です

なので電子制御キャブレター機ではエアエレメントのコンディションがとても重要なんです

STIHLではロングライフタイプのエレメントを装備していますがそれに甘えてはダメ

早すぎるくらいのタイミングで清掃してください

清掃方法もエアブローだけではダメです、アルカリ系洗剤で洗浄する事が指定されてます

いざトラブルと修理は高額

シリンダーとピストンのセット#1143-020-1200は¥45,000(税別)

周辺パーツと技術料を入れるとかなり痛い金額になりますよ

エアエレメントのメンテナンスを忘れずに行って下さいね

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